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世界的なコーンの需給バランスについて考察したいー【非会員限定】コーン先物情報ブログ

これまで、供給サイド(2017年産アメリカ産コーンの作柄、2017年産ブラジル産コーンの収穫量)について中心に話を進めてきた。どうやら、2017年産コーンの生産量は、これまでのところ大問題なく進んできている。現実には、中国やアルゼンチンなどの生産量についても見ていく必要があると思われるが、相場を見ている限りでは先物価格の下落が進んでおり、供給サイドでの問題はなさそうに思われる。

 

 

しかし、ご承知の通り、供給サイドはあくまで物事の一端を示しているに過ぎない。当然、需要が今どうなっているのか、今後どうなりそうかについても考えていく必要がある。

 

 

これまでの需要について

このことについては、過去ののブログ記事でも書いた。

 

(こちらの記事です。)

naohirokatoh.hatenablog.com

 

簡単に言えば、現在の状況は

 

① 世界的に言えば、需要と供給は拮抗している。

② 世界的に荷余り気味の状況だが、世界全体の消費量の14%程度にすぎないため、2か月分もない。

 

とだけ言えるだろう。しかし、これだけでは、今後どうなっていくか、予測をすることができない。今知りたいことは過去の状況ではない。将来の状況だ。将来を知るため、過去の推移についても目を通す必要があるだろう。

 

 

世界的な需要と供給の推移

また、世界的な需要と供給量(繰越残+収穫量)過去の推移は次の通りになる。

f:id:NaohiroKatoh:20170826112142p:plain

(USDAの関連サイトであるPSD Onlineより生データを取得し、筆者が作成)

 

このデータを見ると、「Total Supply(供給量)」が常に「Consumption(消費量)」を上回り続けていることがわかる。世界的な消費量も年103%のペースで年々増え続けているが、供給量の方がそれを大幅に上回っておりひっ迫感はほとんどない。

 

ただ、気を付けたいのは、2010年~2013年にかけては、一見余裕がありそうな需給バランスであったにもかかわらずマーケット参加者はひっ迫感を感じた、ということ。ひっ迫感を感じたからこそ、コーン先物価格は暴騰した。つまり、この時期の繰り越し残程度のレベルになってくるとマーケット参加はひっ迫感を感じる、ということなのだろう。

 

現実的には、コーン先物価格が高騰してくると、買い手は警戒感から購入を控えてくる。つまり、この4年間に需要の伸びはなく、横ばいとなっているが、これは高値のため買い手の買い控えがあったため、と考えられるだろう。

 

 

続いて、世界的な需要は年々増加しているようだが、実際にどういった国が伸びているのか、見ていきたいと思う。

 

 

国別コーン消費量の推移

USDAよりデータを取得し、直近の消費量が多い20か国を多い順に並べてみる。

f:id:NaohiroKatoh:20170826120020p:plain

 

過去5年間でほとんどの国のコーン消費量が110%以上増加していることがわかる(黄色マーク)。特にベトナムは205%、イランは182%と大幅に増加しており、アメリカ、中国も母体が大きいにもかかわらず116-120%の増加となっており、消費量増加に一役買っている。こうした背景があり、世界的には年々103%のペースで増加しているのだ。

 

しかし、過去1年間の消費量の差を見てみると、横ばいになっている国もあるものの、多くの国で増加の伸びはほとんど変わらないことから、今後も、年103%程度の増加が見込めると思われる。

 

以上を踏まえたうえで、短期的な消費量と供給量をざっくり予測していく。

 

 

直近数年間の消費量予測

消費量予測は次の通り。

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(2017/2018、2018/2019の消費量は過去の平均の増加率である103%を踏まえ作成。供給量は、2017/2018の供給量はWASDEの8月10日発表の予測データを基に作成し、2018/2019の供給量は前述した繰り越し残予測と2017/2018の供給量で算出した。)

 

103%の予測を入れてみると、一見するとこれまでよりも伸びが早くなってしまった。しかし、大き目の消費量予測として話を続けていきたい。

 

良いニュースとしては、このペースで消費量が伸びたとしても、2018年の供給可能量を大幅に下回るということ。悪いニュースとしては、WASDEの予測通りに事が進み、2018年の収穫量が2017年並みとなった場合、2019年の繰り越し残はひっ迫感を感じさせるレベルまで減少してしまうということ。

 

もちろん、2018年の総供給量を考えるのは早計ではあるものの、今年の年末、南半球の作付が始まるころに12月限の限月が近づいていることを考えると、今後大きな影響があるだろうと思われる。要は、コーン先物相場の上昇の可能性が高い、ということだ。

 

ただし、短期的(1-2か月)に見れば、2017/2018の繰り越し残は、去年ほどではないとはいえ、大きな繰越を予測している状況にあり、コーン先物相場は大幅下落が見込まれる、と見ていいだろう。

 

現実に、コーンの先物相場は急落している。では、どこまで落ち込むと予測できるのだろうか?過去のチャートから、検討をしていきたいと思う。

 

 

繰り越し残とコーン先物相場の関係性

このことについては、すでに過去の記事で書いた。

 

naohirokatoh.hatenablog.com

こちらでかなり詳しく書いてきたのだが、こちらでは、アメリカしか見ていない。確かに、相場の中心はアメリカであり、アメリカの状況が大きな影響を与えているのも確かなのだが、コーンは世界的な作物であることから、改めて世界的な繰り越し残から、先物価格を見ていきたい

 

 

先にあげたグラフで「供給量ー消費量=繰り越し残」となるので、これを世界的な繰り越し残の参考値としたい。

 

ざっくり見て、2017/2018の繰り越し残は2年前の2015/2016と同程度になるものと予測されている。それを踏まえて、先物価格を予測していきたい。(但し、その前年の2014/2015の繰り越し残と2015/2016とでは1割の差があるものの、数量ベースでは20百万t程度(これは総供給量の2%)しか差がなく、誤差の範囲。そのため、これから書くことは、万が一予測通りになってしまった場合の予想。)

 

先にあげたブログに書いた通り、2015年9-12月のコーン先物価格の最安値は$370/ブッシェルである。現在の2017年12月限の先物価格は$353/ブッシェルであることを考えると、下がり過ぎの水準まで来ている、ということができる。

 

$370が妥当なところだと思うと、買い下がりのスタート地点として絶好のポイントとなってきている。売り玉については手仕舞を始めても差し支えないところまで来ていると思われる。

 

他に考慮するべきポイントとしては、先にあげた2018/2019に十分な収穫量が確保できないとひっ迫してしまう、という事実であり、 投資家として、知っておかなければならない情報。これもまた、これ以上の下落は難しいことを示唆する情報である。

 

実際には、さらに先物価格が下落する可能性もあるのは確かなのだが、だいぶ良いところまで下がってきていて、買って勝率が高いところにいるのは間違いない。

 

 

まとめ

今回のブログでは、世界的な需要・供給状況について見てきた。虎の子のお金を仕掛けるに当たっては、もう少しリサーチをする必要もある、とは思うものの、大筋として、これ以上下がらなそうな状況が見えてきている。

 

引き続きリサーチをしていきたいが、今日はここまで。今年のコーン相場の中でも重要なポイントのようなので、明日もブログをアップするべくリサーチをしたい。(特に、気になるのは今後の作付面積がどうなるのか?ちゃんと増加するのか?)

 

 

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