9月18日現在のコーンの状況について考察するー【非会員限定】コーン先物情報ブログ
WASDEの9月予測
去る、9月14日にWASDEの収穫予測が発表になった。すでにご存じの方も多いと思うが、単収予測が若干改善された。
参照
USDA | Commodity Forecasts | World Agricultural Supply and Demand Estimates
8月予測 169.5ブッシェル/エーカー
9月予測 169.9ブッシェル/エーカー
…。まあ、横ばいですよ。そんなに大きなニュースはなかった、と言えるのではないか。但し、輸出量が若干減少している影響を受けて、繰り越し残は
2016年産 2,350百万ブッシェル
2017年産 2,273百万ブッシェル (8月予測)
2,335百万ブッシェル (9月予測)
となり、大豊作であった2016年産とほぼ同等の繰り越し残予測となる見込みとなっている。これは本当に大きい。
輸出減の要因は、価格が安いブラジル産コーンが豊作であり、世界的なマーケットに流入してきたことが大きな要因だ。とにかく、供給過多の状況が継続することはほぼ確実である、と思われる。
現在の収穫状況
アメリカでコーンの収穫がスタートしている。これまでのところ、どれほどの収穫となっているのか?まだまだスタート段階ではある。
テキサス州、インディアナ州など、南部に集中している。収穫状況としては現在のところ大豊作であった昨年並みの収穫が終わっている。
参照記事
Corn harvest begins in the U.S. | Farms.com
現在のところ、アメリカのコーン生産量の内、5%のコーンが収穫されてきているが、この時期にしては、昨年並みの収穫が終了したこととなる。まだ、特に作付面積が大きいコーンベルトに位置するアイオワ州等はまだ収穫がスタートしていないものの、アメリカ全体として、良い収穫のスタートが切れた印象だ。かねてから、アメリカ南部のコーンの作柄は非常に順調と書いてきたが、大きな問題なく収穫がなされている状況のようだ。
今後の価格推移予測について
私としては、今後も価格が急落することはないと思っている。むしろ、価格は上昇トレンド、と言う考え方に代わりはない。確かに、大きな収穫量が予測される状況ではあるものの、価格低迷によって、農家のコーン離れが進むリスクが急激に高まっている。そのため、今回のWASDEの発表以降、一時的には価格の暴落が見られたものの、大暴落とはいかなかった。現在は、ご承知の通り、WASDEの発表前と同等の価格まで上昇している。
すでに、ブラジル南部の農家がコーンを作付する時期に入ってくるが、現実に、作付面積の減少が予期されている。いくつか読んだ記事の中では、ブラジルの農家が十分な利益を得られないせいで、翌年の農薬や肥料を購入するお金が賄えない、40%がローンで賄っており、デフォルトの可能性もある、という状況のよう。農家は、どれだけの利益になるか収穫するまでわからないのだが、せっかく収穫できたとしても利益がほとんどないようでは植えてもしょうがない。しかも、今年は大豊作であったにもかかわらず、手元にお金が残らない。「こんな作物育てたくない」と思っていることは想像に難くない。
実際に、ブラジル南部の作付は昨年の半分しか進んでおらず、肥料の買い付けもまだあまり進んでいない状況のよう。
参照
CBOT: Grain price weakness hampers Brazil farm planning for next crop - Times of India
現在のところ、ブラジル政府はのコーン作付の減少幅は2-5%である予想しているが、政府としても繰り越し残の消化を優先すべきとの認識。作付面積が増加する傾向は全くない。
大きな在庫を抱えている問題は、安値で大量に取引をされやすい環境にある、ともいうことができる。在庫がなくなり、供給が減れば価格は上昇してくる。つまり、しばらくは安値になる可能性が高いだろうが、いつまでもずっと続く、と言うものでもない。
市場参加者たちは、すでに来年の作柄を見ている。そして、また、値上がりを警戒する時期に入ってきていると思う。
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