9月24日現在のコーンの状況について考察ー【非会員限定】コーン先物情報ブログ
僕としては、今くらいの価格が買いだ、そう思って12月限で勝負をかけ結構な額を張っている。現実には、なかなか大きな値動きの変化は起きておらず、12月限の価格は
$345-355/ブッシェル
のレンジで大体推移している。
まあ、11月ごろが勝負だと思っているので、まだまだこれからなのだが、結構フラストレーションがたまってきている。何か間違えていないか?改めてよく考える時期に入ってきているのではないかと思う。
それを踏まえ、今後のコーン価格はどうなりそうか?、ストーリーを考えていきたい。
ざっと調べた結論
まず、結論から述べたいと思う。
以前のブログで、世界的なコーンの需給バランスについて述べた記事があったのだが、この状況から大きなかい離はないと見ていいのではないかと思う。
(この記事。)
記事の中ではいろいろ書いているのだが、要約すると、
「2017/2018年の繰り越し残はひっ迫感を感じるレベルまで減少する」
ということで、値上がりの可能性が高いことを示唆している。
改めて、現在の状況を精査していきたい。
各国の収穫量予測
まずは、国別の収穫量を見て行きたい。
(9月12日発表のWASDEのデータをもとに筆者が作成)
以上を見てわかる通り、コーンの生産量が最も大きな国はアメリカであり、アメリカの生産量がマーケットに大きな影響を与えていることがわかる。ブラジル、アルゼンチンが増えてきているとはいえ、アメリカと比較すればほんの少しと言えるような量であり、少なくとも、マーケットに大きな影響を及ぼすほどのインパクトはこれらの国にはない。
続いて重要なのは、中国の生産量だが、2017年産は微減となっている。
最終的な世界全体の生産量は去年よりは減少している。
国別消費量
続いて、消費量(需要)を見て行きたい。
(資料は上記と同様の方法で作成)
世界的に、コーンの消費量は上昇基調ではあるものの、上昇幅が止まってきている。前回書いたブログの中では、年々103%のスピードで成長している状況を書いたが、2017/2018はそこまでの伸びにはならない見込みとなっている。
とは言っても、過去最大レベルの需要を維持している状況と言える。
世界的な需要は大体1,050百万tあるのだが、そのうちの650百万tは飼料向けとされている。ようは、家畜の餌であり、世界の人の肉を食べる量が増加すればコーンの需要が伸びる、という構図である。
世界情勢とか人の心理を考えると、肉の消費量が急激に落ち込むようなことも考えにくい、ともいうことができる。貧しかった人が肉を食べるようになったとして、その人が1度しか食べない、なんてことはなく、肉価格の高騰がない限りその人はその後も食べ続けるだろう。
言いたいのは、今後も現在くらいの需要を維持する可能性が高いということだ。
また、需要について、もう一つ気になることがある。
誰が、生産者が飼料をどれだけ消費したか管理しているのか?世界の需要を見る限り、管理していないように思われる。
グラフを見てほしいのだが、2016/2017と2017/2018は同程度の需要見込みとなっている一方で、2015/2016から2016/2017は1年で全体の需要の1割ほどが増加している。2016/2017は価格が安かったことから、大量に購入した需要家が多かったと思われる。大量に購入し、余った分は翌年に繰り越している可能性がある。
よって、2016/2017については、正式な数字と実績とで若干のずれが出ている可能性がある。※
これを踏まえた上で、今後の出荷量を見て行く必要があると思われる。(今のところ、アメリカについて、今年の出荷量は前年割れ)
※
現実的な話では、飼料として使用される原料はコーンだけではないことから、価格が安いコーンの使用比率が高まったため、需要が増えた、と言う面もあると思われる。
コーンの繰り越し残
続いて、繰り越し残を見て行く。
(資料は上記と同様の方法で作成)
2017/2018年の予測では、過去2年で最低規模の繰り越し残予測になる見込みとなっている。これだけを見ると、コーンにひっ迫感が出てくるのではないか、予測される。但し、先ほど述べたように、2016/2017のうち、実際に消費された量の計算が合わないことから、繰り越し残についても若干のずれが生じていることが予測される。
予測される2017/2018の繰り越し残は200~230百万tのレンジだろうと思われるが、これは、生産量全体から見て3%と小さい差である。
過去の価格推移
繰り越し残と先物価格は関係している、と仮定することができることから、現実に起きた過去の価格推移も見て行く。
Corn (Globex) Monthly Commodity Futures Price Chart : CBOT
2015、2016年の9~11月の先物価格(12月限)を見て行くと、
2015年 $360-380 (213)
2016年 $350-360 (227)
(カッコ内繰り越し残(百万t))
となっている。よって、2017年の繰り越し残から算出される値幅は、
2017年 $350-390 (200~230)
(カッコ内繰り越し残(百万t))
とザックリいうことができるのではないかと思われる。
気になるブラジルの作付状況
上記では、もう植わってしまったもの、使い終わったもの、といった結果の部分の情報を見てきたが、むしろ、気にすべきは、これからどれだけ作付があるか?また、来年の繰り越し残がどうなっていくか?とういこと。
すでに、ブラジルのコーン作付が始まっている状況ではあるが、今のところどういった状況なのだろうか?
直近リリースされたニュースを見て行きたい。
2017年9月21日 UKR AGRO CONSULTANT
<要約>
ブラジルの農業コンサルタント会社は、2017/2018の植え付け量が20-30%、もしくは60%まで減少する可能性があると見ている。作付が始まろうとしている時期ではあるが、コーンの話題はなく、大豆の作付への注目が集まっている。
Region in Brazil could cut corn acres by 60%, local agronomist says — BlackSeaGrain
2017年9月6日 Successful Farming
<要約>
2017年産のブラジル産コーンの収穫量は過去最大量であったが、価格も安く、非常に多い在庫に苦しめられている。これから2018年産コーンの作付が始まるが、作付量の大幅な減少が予期されている。
低価格のため、ブラジル産コーンの競争力は上昇しているものの、アメリカがメインの輸出国である実態は変わらず、全量出荷には時間がかかる見込み。
2017年9月6日 Successful Farming
Brazil’s Farmers See More Profit in Raising Soybeans | Successful Farming
いずれにしても、ブラジルの作付量が減少することはほぼ確実である。減少幅は20-50%が予期されているが、この減少は、つまり20百万t~50百万tの減少を意味している。
先の文章にて繰り越し残が不正確である可能性について言及したが、不正確な量の幅は0~30百万tであり、これによって、先物価格に影響があると書いた。
ブラジルの減産は明らかにそれ以上のインパクトがある。繰り越し残が価格に影響するのであれば、ブラジルの減産は間違いなく価格に影響すると見ていいだろう。年末が近づけば、より詳細な状況は見えてくるものと思われる。
まとめ
現在の状況から、今後の価格推移を予測したい。
項目 想定価格
低い繰り越し残 $350-390/ブッシェル
ブラジルの減産 +$10-30/ブッシェル
(筆者のザックリとした予測。)
以上より、2017年の12月限の価格推移は
12月限価格予測 $360-420/ブッシェル
と予測される。
少なくとも、現在の$350前後の先物価格は安いということができ、買いを入れても最終的に利益となりやすい状況であることが推測される。
正直、不安感がある価格推移であったのだが、安心して値動きを見ていて問題がない状況であろうと思う。
(僕はすでに予定の仕掛け(資金の半数)をしてしまっている。よって、追加の増し玉はもう大きくはできないところではある。ただ、安値になった時は思い切って少しだけ仕掛けたいと思う。)
(仕掛ける際は、ご自身でも確認の上、実施してほしい。僕はこの記事を精いっぱい書いているし、間違いはないと思っているが、全くないとは言えない。それを加味して判断してほしい。)
質問はコメント欄に。
ブログランキングに参加しているので クリックにて応援してほしい!
次の記事もご参考に。