7月12日発表の2017年のコーンの生産量予測について考えるー【非会員限定】コーン先物情報ブログ
2017年7月12日に、米国農務省より、
2017年9月地点の世界全体の繰り越し在庫が増加見込み
との報告があった。
これにより、コーンの先物価格は急落し、
やられた人も多いと思う。
(と思ったら最近は上昇、どうなってるのよ)
という僕も多少の損失と大きなポジション調整を強いられ、
再構築の段階にいる。
やはり、需要と供給を映し出す数値情報はコーン先物価格へのインパクトも大きく
非常に重要だ。
こういった重要な情報だが、
一部の人(もしくは会員登録した人)しか見れないかと言えは全く違う。
ちょっと調べればタダで手に入るのだ。
恐らく、多くの人が調べ方と見方がわからないと思う。
ある人が、
「収穫量が多いみたいです」
といったとする。
その情報が信頼できるか?と言えば、生データを確認しない限り本当ならわからないはず。
ましてや、人が加工した情報はその人の偏見が入りがちなので、
是非、生データを入手して自分なりの考えを持ってほしい。
そんなわけで、今回のブログでは、生情報の取り方を見て行きたいと思う。
調べ方
下のリンクで情報を探することができる。
https://www.fas.usda.gov/commodities/corn
こちらのリンクを見てみるとわかるのだが、
非常にコアな情報も多く、どれを見ればいいかわからない。
僕が思うに、特に重要な情報の一つは
World Agricultural Supply and Demand Estimates
こういった情報を集めた経験のある人はわかると思うが、よく
WASDE
と言う言葉が出てくる。
上で示したリンクがまさにそれで、
大抵のニュースはこの情報を参考にしているのだ。
今回の発表のコーンのデータを示すと下のとおりとなる。
説明・訳
Area → 作付面積(ヘクタール表記)
Yield ⇒ 単位面積当たりの収穫量(1ヘクタール当たり何tできるか?) Production ⇒ 収穫量(百万t)
この表で重要な部分を挙げていく
まずは左端。
From last yearと記載がある部分だが、世界全体では去年よりも3,200万t減少(前年比3%減)することがわかる。
そのうち、アメリカだけで2,300万t減少(前年比6%減)見込みだ。
他に、中国、ブラジル、アルゼンチンでも減少となっており、最終的には減少するとみている。
もう1つ重要なのは真ん中あたりにあるYield。
世界全体を見ても、去年(Prel.2016/17)は5.82t/haであったのに対し、
「2017/18Proj.JUL」(今年の7月予測)を見てみると5.70t/haと悪化している。
しかし、2015/16の5.43t/haと比較すると今年は増加見込みとなっている。
Area(作付面積)、Production(収穫量)ともに、
2017/18は2016/17より少ないが、2015/16より多い、
という同様の傾向がみられる。
これらを見ると、
世界全体で収穫量が大幅に減る、
と言ってもひどい状況ではないことがわかる。
そして、今回問題になっている、
6月予測より7月予測の方が収穫予想が増えている、
と言う件について。
アメリカのProduction(生産量)を見ると、6月は357.27百万tに対し、362.09百万tに約5百万t増加(1.3%増)していることがわかる。
Yield(単位面積当たりの収穫量)は10.71から10.72に微増となっているので、これは生産量増加に影響していない。
Area(作付面積)を見ると、33.35から33.79に変わっており、0.44増加している。これは1.3%の増加に相当する。
つまり、Area(作付面積)の予測が増えたので、Production(生産量)が増加したのだとわかる。
生産量の増加はインパクトがあるものなのか?
生産量の増加分はたかだかアメリカの生産量全体の1%。
世界全体で考えれば0.5%程度の上昇。
あなたならどう評価する?
まとめ
生産量の予測の調べ方について書いてきた。
おそらく、
「どこを見れば情報が集められるかわからない」
という人が多そうだったので、
場所を提示し、表の読み方を見てきた。
ここまでデータを読み込んでくると、
相場が正しいか間違っているかなど、
様々な側面で考えることができると思う。
また、データについても見てきたが、お分かりのとおり生産量おはあくまで、必要な情報全体のある1面を見ているだけ。
次回は、最終在庫の予測について見て行きたいと思う。
質問はコメント欄に。
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