2017年産ブラジル産コーンの状況をチェックするー【非会員限定】コーン先物情報ブログ
今回は、ブラジル産コーンの現状についての記事を発見したので、書いておく。
ブラジル産コーンの状況が良く、昨日アップした記事にかなり訂正が必要な状況だ。
ブラジル産コーンの状況
ブラジルの2017/2018年の収穫予測は3,823百万ブッシェルが予測されている。但し、この収穫量に対して、貯蔵スペースが足りておらず、屋根なしの屋外で置かれている分がかなりの量ある状況(どれだけの量がそんな状態で保管されているのか、予測はできないしわからない)。雨が降れば品質が悪化し、販売できない物も発生してしまうが、すでに8月中旬で一部で雨による品質悪化が起こっている状況。
今後、ブラジルの収穫量が増えてくれば、必然的に貯蔵スペースは増加していくのだろうが、今年新築される、と言うのは考えにくい。収穫された後ですら、天候頼みの状況となってしまっている。
とはいえ、2016/2017(去年)は3,405百万ブッシェルであったことから、1割以上の収穫量の伸びが期待されている状況。増加分は418百万ブッシェル。
輸出量は前年よりも大幅に伸びている状況。ブラジルの農家としては、自国内に回すよりも輸出した方が良いとの考えで、輸出にまわるコーンの量は増加見込み。為替は理想とは異なり、輸出コストも増加しているものの、自国の価格が安すぎる為、まだ輸出に回したいという動きの方が強い。記事によれば、ブラジル農家の採算ラインが$219/ブッシェルなのにもかかわらず、現地相場は$1.59/ブッシェルまで下落しており、ブラジル農家の採算ラインを切ってしまっている。これでは、農家はブラジル国内に販売しては生活ができない。
このような状況の為、当然輸出に回る数量が増加してきているのだが、ブラジルコーンの主産地から港までの物流コストも今年の6月以来2割上昇している(物流コストが増加し、税金も増加)。原因はディーゼルオイル価格が上昇したため。これにより、コーンの輸出価格、コーンの売上に影響を及ぼし、実際に出荷量の上昇幅は狭まってきている。
要約
価格ダウン要因
・前年より400百万ブッシェルの増加。
これが正しければ、世界全体の在庫も増加となり、コーン価格の暴落が予見される。
・ブラジル国内相場が農家の採算ライン未満の価格。
・在庫はまだまだ多い
価格アップ要因
・屋外での保管が結構ある。
⇒雨により品質悪化が懸念。
・農家から港までの価格アップ
⇒ブラジル産コーンの競争力ダウン、売上ダウン
参照
Brazil Harvests Record-Large Corn Crop, Soybean Sales Slow | Successful Farming
まとめ
この状況を踏まえ、今後の相場の張り方について考えていきたい。まず、400百万ブッシェルの増加のインパクトは本当に大きい。2017年産のアメリカ産コーンの繰り越し残は8月10日のWASDEの予測によると、2,273百万ブッシェルであり過去最大レベルである2016産並が予期されている中、ブラジルが400百万ブッシェルも増加しているため、明らかな繰り越し過多と言える。
置き場に困って、屋外に保管されているものもかなりあるような書かれ方だが、増加した2割分を超えるほど品質悪化になる可能性も低いと思われる。よって、この問題の影響は限定的だろうと思われる。
価格については、来年以降の農家の作付面積が減少しそうな情報とは言えるが、短期的な影響は限定的と考えている。
更に、供給が大幅増になっているにも関わらず、需要は横ばいが示唆されていることから、2017年産の世界全体の繰り越し残は2016年以上の過去最大になるものと予測される。
2016年よりも繰越残が増加するならば、先物価格もそれ相応に下がって然るべきと言える。つまり、去年の現物価格で最安値である$300/ブッシェルに迫るような価格まで下落する可能性が高いということ。現在の$330/ブッシェルではまだ買いは早い。これからの下落が期待できるため、多少先物売りを仕掛けてもいいくらいの状況である、そう思っている。
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